術後補助療法について
放射線治療

放射線の専門医が、患者さんが受けた手術の状況やCT検査の結果などをみながら、どこにどれくらいの量をかけたらよいかを決めます。次に、シュミレーターと呼ばれる装置を使って、実際に放射線をあてる部分に消えにくいインクで印をつけます。この印は照射範囲を示す大事なものですので、治療が終わるまでつけておきます。色落ちすることも多いので、下着は色がついてもよいものを着るとよいでしょう。そして、通常は1日に1回放射線をかけます。放射線をかけている時は数分です。

多くの放射線治療は、外来治療が可能です。しかし、化学放射線治療(化学療法と放射線治療を同時期に行う治療法)の場合や、からだの具合がすぐれず通院がつらい場合(骨転移、脳転移など)には入院治療が勧められます。乳がんの場合には、化学放射線療法を行うことは一般的にはありませんので、後者の場合以外は外来治療が多く行われます。
放射線の副作用は、治療中から終了後まもなくの時期に出る急性期の副作用と、照射が終わったあと数ヶ月以降に出る晩期の副作用があります。
患者さんの日常生活においては、放射線の副作用のうち、後から出てくるものの方がより注意が必要です。特に同じところに二度照射すると、それだけで副作用の頻度が増加し、放射線の効果よりもむしろ副作用が前面に現れることになります。したがって、一部の例外を除いては一度照射したところには再照射しないというのが原則です。乳がんの場合、この例外となるのは転移性脳腫瘍に全脳照射をした後の再発に対する定位照射や骨転移に対する再照射などです。

これらも含め、再照射には細心の注意を払うことが必要で、副作用と利益と熟慮し、専門家による治療が望まれます。