検査・治療法について
乳房温存療法

乳房温存療法の目的は乳房内での再発率を高めることなく、美容的にも患者さんが満足できる乳房を残すことにあります。そのためには、乳がんの広がりを正確に診断して、それをもとに適切な乳房温存術を行うこと、そして手術後に適切な放射線治療(原則的には必須)を行うことが重要です。しこりの大きさが何センチまでなら乳房温存療法の適応になるかについては、科学的に基準が設けられているわけではありません。日本人女性については、局所再発をできるだけ少なくすることや、美容的に満足できる形を残せることを勘案して、大きさ3cm以下が温存療法の適応と考えられています。しかし、がんが完全に取りきれて、見栄えも良好な手術が可能と判断された場合は大きさ4cmまでは温存療法の適応となり得ます。


乳房扇状部分切除術
温存術の中で最も切除する範囲が広い手術。乳管内を乳頭の方向にはうように進む乳がんの場合に行われ、しこりとその周辺を、乳頭を中心にして扇形に切除します。切除範囲が広いので、比較的しこりが大きくても、がんを取り残す可能性が低くなります。手術後には放射線照射を加えます。

乳房円状部分切除術
しこりの形に合わせて1~2cmの余裕をもった安全域の乳腺を切除します。切除範囲が少ないので、乳房の小さい人でも乳房の変形が少ないのが特徴です。手術後には放射線照射を加えます。

腫瘤摘出術
しこりがごく小さな場合、しこりのみを取り除きます。切除範囲が非常に小さいため、がんを取り残す可能性があるので、放射線照射を厳重に行います。あまり多くは行われていない方法です。